NOAELってなんだっけ?

 実験動物に農薬の一定量ずつを長期間(ラット、マウスでは一生涯のほとんどすべての期間)にわたって毎日摂取させ、血液や生理機能、また、身体の組織などを科学的に詳細に調べることにより、一生涯にわたって毎日それを摂取させても当該動物に何ら悪い影響が認められず、催奇形性などの毒性もいっさい認められない最大量が求められる。これを「最大無作用量」(No Observed Effect Level, NOELと略称)という。
(『食品の安全性を考える (放送大学教材)』p50)

で、NOELに種差を考慮した安全係数1/10と、個人差を考慮した安全係数1/10、あわせて1/100を乗じてADIを求める、とのこと。

 NOELとADIと言えば、似たようなのにNOAELってのがあったと思ったけど、NOAELってなんだっけ?

1. 無毒性量(NOAEL: No-Observed-Adverse-Effect-Level)
 処理群における毒作用の発生率または標的臓器重量の変化や組織病理学的変化などが、未処理(対照)群と比べて、統計的及び生物学的評価から判定して有意に異ならない最大容量である。
(『健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック』p222)

 NOAELは毒性の有害な影響の出ない最大量なのに対して、NOELは有害な反応でなくても影響が出ない最大量なのが違いなのね。

健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック』によれば、閾値があると想定される場合には、最近ではNOELではなくNOAELに安全係数を乗じてADIを算出するとあるから、『食品の安全性を考える (放送大学教材)』の記述は少し古いのかね。