国立健康・栄養研究所の一般公開セミナーに行った話。
最近全然お勉強してないなー、という反省の意も込めて、第16回国立健康・栄養研究所一般公開セミナー『「日本人の食事摂取基準」の改定をふまえた食事と身体活動』*1に行く。
冒頭、理事長が挨拶で「本当はここに来ていない(食事なんか気にしないという)人に直接語りかけたい。でもそれはできない。今日は心に焼き付くような話をして、来場したみなさんに、来週職場で話してもらう、伝道師になってもらえるような話をしたい」とおっしゃる。
伝道師になんてなれないけれども、心に残ったことをまとめておくのもいいでしょう。
基調講演「「日本人の食事摂取基準(2015年版)」のポイント」講演者:佐々木敏
- 栄養学は難しい科学。だから食事摂取基準をわかりやすく書く気はない。正しく書く。これが努め。
- 食事摂取基準は、一般の人が直接使うものではない。けど、存在と大切さは理解して欲しい。
- 食事摂取基準は、栄養の専門家にとってなによりのベース。まずこれが先に来る。食事摂取基準に書いてないことを先に言ってきたら、その人は栄養の専門家ではない。
- (食事についてアドバイスをされたら)「食事摂取基準に書いてありますか?」と聞いて欲しい。
- 今日は何度でも言います。「食事摂取基準に書いてありますか?」
ここまで語ると「今日はこれで終わりでいい」と冗談半分でおっしゃっていたのですが、それくらい、ここまでを時間をかけてかなり熱く語ります。一般公開セミナーなので一般の人を念頭に置いてのことなのだけど、でも、すごく大切なことだと思います。
世の栄養士様の中には、学校で勉強した栄養学をどこかに置き忘れてしまっているように見える方もいらっしゃって、そういう人が、得てして目立った活動をしてたりするのです。
「ベース」以上の健康を目指すために、食事摂取基準から離れたことを語ることもあるのでしょうけど、ベースがまるで見あたらないところで「わたくし栄養士です」とか言われると、なんだかなあと思うわけです。
ベースと、それ以上のまだよくわからないところとは、できるだけわかりやすく区別して語るのがよいのではないかと思うのでした。
で、このあとは食事摂取基準の内容の話に。
エネルギーについて
- エネルギーの過不足は、体重の変化で評価する。
- エネルギー必要量は算出しない、使わない、勧めない。
- 給食管理には必要だから残されたけど、推定エネルギー必要量は参考程度にとどめる。
- 体重の推移でエネルギーを評価するのだから、体重計に乗れ!
- エネルギー必要量を体重の変化で評価するのは、エネルギー摂取量も消費量も、測定が難しいから。
- 過少申告、日間変動ともに大きい。