シェフは空腹であれ?

 第二次世界大戦中にミネソタ大学で行われた、中等度の栄養不良が与える影響を見る実験*1によれば、

 行動における最も興味深いものの一つは被験者の知的関心がせばまったことである。知的、文化的、政治的関心が失われて食物に関する興味が増加した。ほとんどの被験者にとって、会話や読書、そして白昼夢の主たる対象は食べ物になった。料理の本、メニュー、そして食品製造に関する情報が多くの男性達の主たる興味となった。(略)栄養的に完全に回復したあとでさえも、多くの被験者の食物への関心は高いままであったことが逸話的に語られている。
(『栄養と行動*2』p23)

 中等度の栄養不良経験は、料理人にとってアドバンテージとなるのでした。

*1:対象は健康な若い男性32名。1日平均3,500kcal摂取のベース期間に続いて、1,570kcal摂取期間が6ヶ月続くというもの。

*2:Robin B. Kanarek, Robin Marks-Kaufman著 高橋久仁子・高橋勇二訳 アイピーシー 1994