2010-01-01から1年間の記事一覧

アラキドン酸量を調べ直すよ!

思いつきから「「肉がほしい」とアラキドン酸についての一考察」などをでっち上げてみたのですが、表の見方がなっていないという初歩的な間違いから、比較が比較になっていないというまったくもってひどい事態に陥っていたのでした。 まあそのような具合でご…

本日のお勉強――乏尿とネフローゼ

[問193] (1)尿量800mL/日は乏尿ではない。 (『クエスチョン・バンク管理栄養士国家試験問題解説 2011』p645) じゃあ乏尿ってなんだっけ? 臨床的に1日100ml以下を無尿 anuria、400ml以下を乏尿 oliguria、 また2,500ml以上を多尿 polyuriaという。 (『…

本日のお勉強――肝臓での乳酸代謝

糖質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。 (略) (問題文)(3) 乳酸は、脂肪組織でグルコースに変換される。 (略) (解説)×(3)肝臓においてグリコーゲンに変換される。 (クエスチョン・バンク管理栄養士国家試験問題解説 2011]) グリコーゲ…

食という字は「人」を「良くする」と書きます

というのは、食育の末端にいるとそれなりに聞く言葉です。「人」を「良くする」、食とは本来そのようなものなのだから、我々も原点に立ち戻り、そのような食べ物を選んで食べましょう。なんて具合に講演を締めくくるのです。 しかしながら、これは本当なので…

「ニワトリ狩り」の悪影響

豚を飼育して最後には食べる「いのちの授業」というのがあったけれども、実はそれには前身があったのかもしれません*1。「食べる」思想 ~人が食うもの・神が喰うもの作者: 村瀬学出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2010/03/06メディア: 単行本(ソフトカバー)…

トリインフルエンザウイルスについての疑問を調べてみた。

栄養学とも食物とも関係なくて、特に詳しいわけでもないインフルエンザについての話です。 ことの発端はインフルエンザウイルスが感染・増殖するのに、ウイルス表面にある2つのたんぱく質、ヘマグルチニンとノイラミニダーゼが重要な役割を果たすと聞いたと…

歯の本数にしたがえば、ヒトは犬よりも肉を食う

歯の本数から理想的な食べ方がわかる、ということを聞いたことがあります。曰く、ヒトは門歯が何本犬歯が何本、臼歯が何本だから、その割合からいってあまり肉は食べずに植物性のものを多く摂りましょうね、といった具合です。たとえば、こんな風に。 ヒトの…

梅毒ってもともと新大陸の病気だと思ってたけど

(1492年)十一月二十七日、火曜日、ジュネーヴで市民代表のジャン・メリアールが>の治療をするために休暇を願い出る。つまりこれは梅毒のことだ。 (『1492 西欧文明の世界支配 (ちくま学芸文庫)』p295) このときコロンブスはまだキューバにいます。随行して…

主食あれこれ

以前見た『肉食の思想』*1によれば、ヨーロッパの食事には主食・副食の区別がないとのことでした。牧畜適地で動物との距離が近かったこと、家畜を食らう習慣を持ちながら、それでも集団の協力が必要なパン食を捨てなかったことが、ヨーロッパ思想の土壌を作…

ピルビン酸の行き先についてのお勉強

砂糖摂取のカルシウム排泄増加説がコメントであったので、google先生に聞いて2, 3適当に見繕ってみれば、「砂糖摂取で増加したグルコースをTCAサイクルで処理できず、ピルビン酸から乳酸に代謝されてpHダウン、酸・塩基平衡のためにカルシウムが消費される」…

「砂糖を摂りすぎるとキレやすくなる」

(旅行等で長時間子供と乗り物を利用する際に)「お菓子で黙らせる」作戦もよく見かけるが、管理栄養士の幕内秀夫さん(57)は、「甘栗や干し芋など天然の甘さを生かしたおやつはいいが、チョコやスナック菓子は長い目で見ると逆効果」と指摘する。白砂糖や…

カロリー制限したときの活動性が気になる

カロリー制限を行うと寿命が延びる可能性がある、というのは、以前行ったアンチエイジング講座でも話されていたことです。酵母、線虫、ショウジョウバエ、サルに至るまでそういった傾向が見られるので、おそらく人間でも同様の効果があるのではないか、とい…

「まごわやさしい」の記事に対する絶賛記事

ほぼ全文引いてしまう無礼をお許しください。 「まごわやさしい」これって全文は「おかあさんはやすめ ははきとく まごはやさしい」で、要するにおばあちゃんの作ってた昔ながらの和食は最高、モダンなお母さんの作るおしゃれな洋食なんてダメ、という嫁いび…

食料自給率を上げろ上げろと言うけれど

先ごろ一〇〇%輸入に頼っているシンガポールの高官に食料安全保障という考え方について聞きましたら「イラクのようなことをしない限り、食料がカットされることはないと思う」という答えでした。 (『食の文化フォーラム―国際化時代の食』p66) 話者はこの…

昼寝はいいことばかりじゃない。かもしれない

昼寝はいい、という話を聞きます。永きにわたる幼き日のそのいずれかの記憶によれば、「20分の昼寝は夜の睡眠1時間に勝る」と母親かだか父親だかが言っていましたし、最近では昼寝をすると記憶力が上がるなんて話もあります。午後の眠気に襲われずに作業効率…

特に専門外の権威には気をつけよう

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫)作者: 鯖田豊之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 22回この商品を含むブログ (16件) を見る 日本ではごく当たり前に「主食」なるものがあって、それはたとえばご…

トリプトファンとセロトニン2

以前、トリプトファンとセロトニンの話のときに、 逆に高炭水化物食(無たんぱく)だと、たんぱく質はないけれども、上昇した血糖からインスリンが分泌されて、それがトリプトファン以外のLNAAsの筋肉への取り込みを刺激するので*5、血漿トリプトファン/LNAA…

リスクコミュニケーションが腑に落ちた

リスク理論入門―どれだけ安全なら充分なのか作者: 瀬尾佳美出版社/メーカー: 中央経済社発売日: 2005/04/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (4件) を見る いろいろと素晴らしい本だと思うのですが、わたくしにとってなにが一…

食品の安全性に対して支払ってもいいと考える金額は、教育水準によって異なる

というのは、『食品の安全性を考える』*1で紹介されているノースカロライナ州立大学の研究です。食品のリスクが1/3に減少すると証明されれば、今ある商品に対するよりもどの程度追加的に代金を支払う意思があるかを調べたらしいのですが、結果は以下のように…

米飯食では太っている人のほうが普通の人より血糖上昇が少ないかもしれない

コメント欄で教えていただいた『食事が血糖値に及ぼす影響—米飯食とパン食の差—』*1が、米飯食とパン食の差以外の部分が面白かったのでご紹介致します。 この実験は、一般的に血糖のコントロールには小麦粉よりも米飯がいいと言われているけれども、実際のと…

シェフは空腹であれ?

第二次世界大戦中にミネソタ大学で行われた、中等度の栄養不良が与える影響を見る実験*1によれば、 行動における最も興味深いものの一つは被験者の知的関心がせばまったことである。知的、文化的、政治的関心が失われて食物に関する興味が増加した。ほとんど…

トリプトファンとセロトニンを調べてみた

古い本ですが図書館で偶然『栄養と行動*1』なるものを見つけましたので、トリプトファンに関係する箇所でも見てみましょう。なぜトリプトファンなのかといえば、 セロトニンは、私たちの気分を向上させ、幸福感をもたらす伝達物質である。(略)セロトニンは…

身体活動レベルの計算と必要カロリー

だいぶ前に身体活動レベル(PAL)の算出についての話をしました。その方法は1日の活動について、各行動をした時間に各行動の動作強度(Af)を乗じたものをすべて足して、それを1日の時間で割るという、誰がそんな面倒くさいことをするんだというものでした。まあ…