2009-01-01から1年間の記事一覧

ヨーロッパの昔の食——ヨーロッパにも肉の食えない時分がありました

ヨーロッパの舌はどう変わったか―十九世紀食卓革命 (講談社選書メチエ)作者: 南直人出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/02メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 37回この商品を含むブログ (9件) を見る 今日の日本の食について欧米化していると言われます…

日本人の米食べ具合 その昔

『「コメ志向」再考』*1のなかで、ジョアン・ロドリーゲスの『日本教会史』なるものから面白い文章が引用されています。 また、シナ、コーリアおよび日本は酒の使用量があまりに多いので、日本では国土の産出する米の三分の一以上が造酒に用いられると断言で…

「コメ志向」再考——または、ニッポンだって肉を食う!

食文化から社会がわかる! (青弓社ライブラリー)作者: 原田信男,竹内由紀子,中村麻理,矢野敬一,江原絢子出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (7件) を見る さて、先日は第4章「シンボル…

感情的な食育と、ちょっとの小話

とある研修会でお話をされたお偉いさんはその昔、まだうら若き時分には小学校に勤めていて、コーラは悪魔の水ですと子どもたちに教えていたそうです。その甲斐あってか、学校内だか学校の近くだかに自販機ができても子どもたちは誰も買わなかったし、どころ…

「シンボルとしてのスローフード」——または、食育とスローフード

食文化から社会がわかる! (青弓社ライブラリー)作者: 原田信男,竹内由紀子,中村麻理,矢野敬一,江原絢子出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (7件) を見る パルテノン多摩で行われた講演…

食事はちょっとよくすればいい

「食育」はいいが、思わぬところで子どもの心を傷つける。小学5年の時だった。家庭科の朝ごはん調べの質問に「レタスとトマトのサラダ。ベーコンエッグとジャムトースト。牛乳も飲んできました。」と答えて先生に褒められた。 うそばっかり。その朝は自分で…

トマトとトマトピューレの比較

そもそもピューレとはフランス語で野菜などをつぶして裏ごしにし、とろみのある滑らかな半液体状にしたものを指します。トマトピューレとは、トマトをピューレしたものなのです。 (略) それにしても、6キロのトマトを使ってトマトピューレが1.5キロし…

乳糖不耐症があるからって牛乳否定しないでね!

世の中には牛乳体に悪い説なんてのがありまして、極端なかたになりますと、牛乳は牛の乳であって人の飲む物ではないのだから、体にいいわけがないなんてことを言ったりするのです。 まあ伝え聞く話によれば、かつて世界には酒の泉がわき出したりパンの実がな…

NOAELってなんだっけ?

実験動物に農薬の一定量ずつを長期間(ラット、マウスでは一生涯のほとんどすべての期間)にわたって毎日摂取させ、血液や生理機能、また、身体の組織などを科学的に詳細に調べることにより、一生涯にわたって毎日それを摂取させても当該動物に何ら悪い影響…

輸入食品の違反件数・割合を、今度は地域別に見てみた

(2002年(平成14年)における輸入食品について)違反件数は検査対象のわずか0.1%程度であることがわかる。なお、違反の地域別割合では、件数と割合ともに近隣のアジア諸国からの輸入品が多いことをつけ加えておこう。 (『食品の安全性を考える (放送大学…

環境中の合成化学物質の発がん性リスクは微々たるもの

主要な保健機関は、環境中の微量の化学物質が大きな危険因子でないことに同意している。きわめて重要なのは生活様式である。喫煙、飲酒、食事、肥満、運動。これらはきわめて大きな影響を及ぼす。ほとんどの推定で、すべての癌のおよそ六十五パーセントの原…

基礎代謝基準値の文献を調べてみた

基礎代謝の幅ってどの程度なの? 朝食食べた食べないで(?)簡単に変わってしまうかもしれない基礎代謝ですが、では一体全体、どの程度の幅があるものなんでしょうか。 厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準〈2005年版〉で参考文献に挙げられている、日本人…

朝食食べないと代謝が下がる?

さらに蛇足ながら、朝食を食べないと太るとか太らないとかで紹介した「食習慣と骨粗鬆症」の表を見ると、朝食欠食群の体重は平均で52.6kg、摂取エネルギーは平均1740.6kcal、朝食摂取群のそれらは54.5kg、1998.9kcalとなっています。つまり、朝食欠食群は朝…

朝食を食べないと太るとか太らないとか

朝食を食べないと太るという言説があります。それはたとえばこんな具合です。*1 朝食を欠食する児の身長は,3歳時から小学4年時にかけて低値を呈した.体重は,3歳時および小学1年時では低値を呈したが,その後逆転し,小学4年時および中学1年時では朝食を欠…

一物全体思想家からもらった国産牛(特定危険部位除去なし!)でも

世の中のおそらく狭い範囲で幅を利かせている思想に一物全体というのがあって、それによれば食材は丸ごとすべて食べるのが健康によろしいとか。食材と食材じゃないものを先に分類しておいて、食材に分類したものはすべて食えというのも随分乱暴な物言いだと…

環境と人に優しい農薬

先日、農薬については無知だから農薬の農家や環境等への影響についてはわからないと言ったわけですが、いつまでも無知を振りかざして許される歳でもありませんので、『食品安全性セミナー〈3〉残留農薬』でお勉強をしてみました。すると、わたくしの農薬に対…

農薬はどうやら発がん原因として重要視されていないらしい

ささやかながら農薬についての知識を獲得しようと『食品安全性セミナー〈3〉残留農薬』を読んでいたら、面白いグラフがありました。がんの原因と思われるものについて、主婦とがんの疫学者にそれぞれ挙げてもらってその割合を示したものです。これを見ると、…

一般の人がよくわかっていない便秘について

「食物繊維の健康効果は、ちょっと、むずかしい」で紹介されている記事によれば、小麦ふすまに便秘改善の効果はないとか。 ブラン(小麦ふすま)に含まれる水に溶けにくい不溶性食物繊維は便秘の解消の役に立たず、それどころか一層悪化させるおそれさえある…

「学校給食」と映画「未来の食卓」

映画「未来の食卓」を見ました。 映画は冒頭、ユネスコの会議の場面から始まります。そこでは、どうやら化学物質によってヒトの健康が害されていて、今の若者は近代始まって以降、初めて親世代よりも寿命が短くなるかもしれないと語られます。そのあとフラン…

酸素水というものがあるらしい

テレビや新聞といった文化的な産物とは縁のない生活をしておりますから、世の中に酸素水という代物があることを知ったのはつい先日、お盆に帰った実家で久しぶりに読んだ新聞の紙面広告からなのでした。その前日には、今炭酸水が大人気というテレビ番組を見…

牛乳低GIはポジティブ?

「食後高血糖の意義と薬物療法」*1によれば、食後の糖処理速度に関する要因は、 胃排出速度 糖質の消化速度と消化・吸収率 インスリン初期分泌 肝臓におけるブドウ糖の取り込み・排出速度 ブドウ糖の抹消での利用速度 の5つであると言います。これらをみると…

酵素等に対する防御機能について

以前、酵素栄養学について触れたことがあります。そのときは「詳しくはほかのページで」というなんともお手軽な触れ方で、そして今回も詳しくは見ないのですが、食物から酵素を摂ることによって人の体で作られる酵素を節約して健康に過ごそう! というのがき…

イメージと違った、牛乳の食後高血糖抑制作用

ものすごく勝手なイメージかもしれませんが、低GI=食後の糖の消化吸収が穏やか、というイメージを持っていました*1。これがどこから来たものなのかと言えば、おそらくはトクホの「血糖値が気になるかた」向け食品の関与成分が、二糖類分解酵素とかショ糖分…

中国食品が特別危険というわけではない、の確認

輸入食品についても、厚生労働省の輸入食品監視統計によればすべての国の食品に1%以下のわずかな違反があり、中国食品の違反がとくに多いわけではない。また違反の程度は規制をわずかに超える程度であり、健康に被害を及ぼすものではない。 (「食生活 vol.…

菜食とビタミンB12についてのお勉強

以前「肉がだめなら無農薬野菜を洗わずに食べればいいじゃない」などと言ったわけですが、そちらのコメント欄で「マクロビ論文5 海藻とビタミンB12」を紹介されたので、そちらを参考にしながら菜食とビタミンB12について調べてみました。 まず「海藻とビタミ…

地産地消って実はとっても厳しいの?

かと疑いたくなる部分が、先日も挙げた引用文にあるのです。 でも、地元食品を支持する主張 (地産地消)、つまり消費者になるべく近いところで生産された食品を食べようという主張は文句なしなんじゃないの? なるべく食物に移動させず、結果として炭酸ガスも…

地産地消についての疑問——生産と輸送の環境コスト

大きな声では言えませんが、地産地消ってそんなに頑張って推進するべきものなのかどうか、実はずっと疑問に思っているのです。たぶんことの発端は「倫理的な食べ物はかえって有害かもしれない。」を読んだことでしょう。当時まだ今に比べれば年端も行かない…

「ご飯はなんにでもあう」というけれど

飯(白ご飯)は、日本料理はもとよりあらゆる料理(中華料理、フランス料理、イタリア料理、インド料理など)とも嗜好的相性がよい。これは、炭水化物源としての穀類のなかで、小麦やトウモロコシにはみられない。このことは他種類の食材を摂取するためのパ…

デトックスが具体的になんなのかは知らないけれど

(妊娠中に)泥を食べるという一見奇妙な習慣でさえ、つじつまが合う。泥は有毒物質を吸収して血管に流れる量を減らすことが証明されているし、胃のむかつきや吐き気止め薬<カオペクテート>の主成分だ。 (『みんなの進化論』p93) とりあえず泥を食うとい…

朝食を欠食すると、グルコースが不足すると言うけれど

教科書では、血糖値は空腹時血糖で70〜110mg/dlに維持されていると言います。しかしながら、一方で朝食摂取を促す言説によれば、朝食を摂取しないとブドウ糖が枯渇して脳に十分なエネルギーが行かなくなってしまうと言います。これは、一見したところ矛盾で…