2011-01-01から1年間の記事一覧

ケトン体がわからなくなった

先日取り上げた『「食育」批判序説』*1のなかで、著者はガイトン『人体生理学』*2から引用して、体内で糖が不足した際には 脳で使われるエネルギーの約2/3はこれらケトン体、主としてβ−ハイドロキシプチレートに由来する。[ガイトン 1982:844] (『「食育…

『食事の文明論』の読書メモ4――主食について

まず飯とパンが対立関係にあることが指摘される、ふつう一度の食事に飯とパンの両方を食べるものはいない。飯をとるか、パンを選ぶか、どちらかである。日本人の食事としてはあたりまえのことであるが、ヨーロッパの食事だったら肉料理のつけあわせにバター…

『食事の文明論』の読書メモ3――私事としての食事と食卓革命

さらに引き続いて『食事の文明論』*1です。第7章の「食卓での分配法」で、著者は日本の食卓の変遷を辿ります。 平安時代末期の書物に、食事をする庶民の絵が描かれているとあります。その絵では、各人の前にお盆が置かれ、お盆の上にご飯のお椀と汁椀、それ…

『食事の文明論』の読書メモ2――国家の学としての栄養学

引き続き『食事の文明論』*1を読んで行きましょう。 著者は4章の「食事と宗教」において、食に対する宗教による禁欲思想を指摘したあとに、5章の「食事と医学・薬学」で、それが今日では医学や栄養学に取って代わられていると指摘しています。 宗教による禁…

『食事の文明論』の読書メモ1

食事の文明論 (中公新書 (640))作者: 石毛直道出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1982/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (2件) を見る まだ読み途中なのですが、序章で著者が書いているように、学術的な記述というよりはエ…

『「食育」批判序説』を頑張って読んだのさ。

さて、本日は先日も取り上げた『「食育」批判序説』*1につきまして、内容に踏み込んで見ていきたいと思います。 書いているうちにとても長くなってしまったので、最初に構成を記しておきましょう。 「朝ごはん」運動への批判 ケトン体研究詳細 断食療法 それ…

『「食育」批判序説』批判

「食育」批判序説――「朝ごはん」運動の虚妄をこえて、科学的食・生活教育へ作者: 森本芳生出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2009/08/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログを見る いやぁ、すごい本です。 以前か…

食中毒原因菌の生存温度について

疑問の発端はCooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)の記述 130°F/55℃ 食中毒原因菌が生存できる温度の上限 (『Cooking for Geeks』 P148) これって本当なんでしょうか。それというのも、少なくとも大量調理施設においては、ノロ…

わたくしの愛するカミムラさんと、代替医療

先日久しぶりにあったカミムラさん(仮名)は、最近整体に通い始めたとか。といってもまだ何度も行ってはいないそうなのですが、わたくしと会うその日には、お値段の高いなんとかという整体屋さんに初めて行ってきたそうです。さすがにお値段が高いだけあっ…

食品の食べ合わせについて――リジンとビオチン

先日テレビを見ていたら、栄養学博士の白鳥さんというかたが、食品の食べ合わせについてお話をされていました。その番組の中で白鳥さんは、何軒かのご家庭におじゃまをして、そのご家庭の夕食を見てはダメ出しをしていたのでした。 放送されたダメ出しは3つ…

覚えるためには覚えない

先日、久しぶりに会ったクラスメートは、1ヶ月後に管理栄養士の試験を控える身分であったのですが、どうにも勉強が進んでいないと嘆いておりました。「人体の機能と構造」*1とかわけわからない、糖のα1,4結合とかってあれ全部覚えるの? 覚えるとしたらどう…

お茶が危ないとかどうとか

はてなで見つけた記事によれば、静岡県知事の発言が問題になっているとか。なんでも、お茶っ葉から基準値を越える放射性物質が検出されたことに対して、「仮に1,000ベクレルだとしても飲用茶にすれば10ベクレル程度になる。飲んでも全く問題ないと考える」と…

もち米の腹持ちについて

皆さまがたにとってはどうでもいいことなのですが、先日書いた記事には長い長い前置きがありました。それは、わたくしが学生時分にアミラーゼの種類とその作用点を習ったときにはたと感じた、日本で言われるお餅の腹持ちについての違和感です。日本では、お…

食品の文化的扱いについて

場所が変われば意見も変わる。食べ物についての意見も例外ではないようです。タイでは北部・東北部とそれ以外の地域では主に食べる米の種類が異なっていて、前者はもち米、後者はうるち米を主に食べる地域であるそうです。そして両者ともに、自分たちの主食…

連続して"4"を選択しますけど大丈夫でしょうか?——管理栄養士国家試験の選択番号別正答数

わたくしの受験した会場では昨日無事に行われた管理栄養士国家試験でございますが、はやくもいくつかのところから解答速報なるものが出されています。 さて、管理栄養士国家試験というものは、知らない人は知らないでしょうが、全200問すべての問題が五者択…

本当は古い(かもしれない)管理栄養士

地震等々ありまして今日このような事態になっているわけですが、宮城会場を除いて管理栄養士国家試験は予定の日程通り開催するらしいのです。したがいまして、今書かなければもう書く機会もなくなるであろう模試の解答集からです。 模試は今をさかのぼること…

食後血糖値を抑えると腹持ちするのかどうかについて――理想血糖推移曲線を求めて

わたくしは一応栄養学を学ぶものですので、世にあふれる健康・栄養情報については、快刀乱麻即座にバシッと判断できなければなりません。したがいまして、昨今の人気記事「「ためしてガッテン」がダイエット食品会社を潰しにかかってる件」につきましても、…

かずのこはプリン体含量が少ない食品か?

世の栄養士には二種類あって、すなわちそれは管理する栄養士と管理される栄養士です。わたくしは残念ながら後者ですので、生活時間から給料の使い道といった基本的な事柄から水着の女性に出会ったときの目のやり場といった些細なことまで、管理するほうの栄…