2013-01-01から1年間の記事一覧

香辛料の使い方

ヨーロッパ人が十五世紀以降東南アジアにやってきたおもな動機は、スパイスや香木に代表される熱帯の香辛料、金などを手に入れるためである、と説明されることが多い。(略) これまで、現代の使用方法をもとに考えてスパイスその他の香辛料は肉の保存や香り…

生体膜は、食事脂質の脂肪酸組成を反映する

身体のあらゆる生体膜は、食事脂質の脂肪酸組成を反映する。 (「ジャパニーズ・パラドクス」*1) たんぱく質などはアミノ酸レベルまで解体されたのち再構築される。豚由来だろうが魚由来だろうが蛇由来だろうが、たんぱく源となった食品のアミノ酸組成など…

アスパラガスのアスパラギン酸

「疲労回復にいいよー。アスパラギン酸って、栄養ドリンクに書いてあるでしょ。アスパラガスから抽出されます」 と言ってアスパラガスを並べている八百屋さんがいらっしゃいました。アスパラギン酸が疲労回復にいいのかどうかはとりあえず置いておいて、アス…

カルシウムの吸収について

先日取り上げた『最新栄養学』*1には、いくつかの食品についてのカルシウム吸収率が載っている表があるのですが、そこに載っていた白菜とブロッコリーがすごかった*2。 svサイズ(g) カルシウム含量(mg) Ca吸収率(%) 吸収可能なCa量(mg)/sv 牛乳 240 300 32.1…

カルシウムとリンについて

以前「乳糖不耐症があるからって、牛乳否定しないでね!」というのを書いたのですが、そちらの記事におおむね以下のようなコメントをいただきました。 おおざっぱな数字として、牛乳100gあたりに含まれるカルシウムは120mg、リンが100mgである。 吸収率はと…

そういえば過去にもやった、たんぱく質の摂取について

とあるblogのコメント欄で、「日本人男性のたんぱく質必要量は60g、牛丼で言えば3杯なのだから、気をつけなければ不足する。プロテインでも如何か」なる旨のコメントを見かけて、疑問点が3つ沸き起こったのでした。 たんぱく質60g必要とはいかなる出典か 牛…

脚気が想像以上に怖かった

栄養士を養成する学校でも、また管理栄養士の参考書でも、栄養学史に軽く触れることがあるのですが、そこでは3人の日本人が登場します。栄養研究所を作った佐伯矩、食事によって脚気を予防した高木兼寛、脚気を予防する成分オリザニン(=ビタミンB1)を発見…

ミルクアルカリ症候群について

20世紀の初め頃に、 胃潰瘍の治療のために、 牛乳とマグネシウム製剤とを、 一緒に飲むという治療がありました。 マグネシウム製剤には、酸を抑える働きがあります。 牛乳は栄養を付け、粘膜を保護する、という目的ですね。ところが、その治療を受けた人の中…

チアミナーゼ論文からのどうでもいいメモ

「昆虫チアミナーゼの研究*1」より この実験は、アフリカの蚕で強力なチアミナーゼが見つかったことから、じゃあ日本で食べられている昆虫はどうなのかというので、 クロスズメバチの幼虫の大和煮 いなごの佃煮 アシナガバチの幼虫 の3種類について調べたも…

食物由来のチアミナーゼ活性について

『卑弥呼は何を食べていたか*1』によると、古代日本の貴族社会ではビタミンB1(チアミン)不足による脚気が流行っていたそうです。これはもちろん、玄米ではなく精米した白米食に移行したことによるものなのですが、それだけでなく、魚介類の生食が大きく影…

はじめて月刊『学校給食』が待ち遠しくなった日

ふだんは適当に流し読みをする*1月刊『学校給食』なのですが、今日手にした3月号は創刊700号記念とかで、学校給食の歴史、献立の歴史を振り返っていて、これがなかなかに面白いものであったのでした。 なのですが、次号の予告を見るに、4月号はもっと期待で…

塩分過多の近代性

人類が最初に手にした調味料は塩です。調味料というより生命維持に不可欠なミネラルです。(略)乾燥した貝類もタンパク源だけでなく塩の摂取手段として貴重です。東京北区中里貝塚でカキの養殖を行っていた縄文人は、乾燥したカキを塩の摂取源として交易に…

納豆のプリン体について

先日会った親戚が言うには、納豆はプリン体が多いのだそうです。 わたくしは一応、社会的には栄養学の専門家の一員であるということになっているので、親戚の間でも、このような話題が出たときに顔を見られるくらいの認知のされ方をしています。ですがたいて…

切り餅3切れと普段のご飯の比較

今、切り餅を3切れ焼いています。これは、ここ数日暴食の気があるので軽くすまそうとの目論見であるのですが、果たして目的に適ったものなのでしょうか。 サトウの切り餅の成分表示を見ると、1切れ(50g)あたりの炭水化物量は26.3gとあります。一方、日本標…

誤解していた地産地消

どうやら、地産地消というのは、今までその土地で食べてきたような伝統食の栄養学的な欠点の改善を、それまであまり栽培されてこなかった農産物をとり入れることで、地元の生産物だけでも十分な栄養バランスが確保できることを目標にした取り組みであったよ…

罰は効果的でない、と行動科学はいう。

うまくやるための強化の原理―飼いネコから配偶者まで作者: カレンプライア,Karen Pryor,河嶋孝,杉山尚子出版社/メーカー: 二瓶社発売日: 1998/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 40回この商品を含むブログ (5件) を見る まったく詳しくないので、単…