食料需給表に関して

 国内野菜の生産量と1人1日あたりの国内野菜供給量の推移を見るの誤りを訂正しました。

 これだけではなんなので、ついでに食料需給表の1人1日あたりの野菜供給量と、栄養調査の1人1日あたりの野菜摂取量とを比較をしてみると、両統計でかなりの差があることがわかる。

 もちろん両者は異なる統計であるので、数字が一致しないのは当たり前なんだろう。食料需給表は「消費者等に到達した食料のそれであって、国民によって実際に摂取された食料の数量及び栄養量ではないことに留意されたい」(農林水産省 食料需給表)なので、栄養調査が対象としている食べた量に関しては、知らぬ存ぜぬのはずだ。

 でも一方で、一人あたりの供給量は純食料を単純に人口で割ったもの、純食料は「粗食料に歩留りを乗じたもの」(同上)で、歩留まりは「粗食料を純食料(可食の形態)に換算する際の割合であり、当該品目の全体から通常の食習慣において廃棄される部分(例:キャベツであればしん、かつおであれば頭部、内蔵、骨、ひれ等)を除いた可食部の当該品目の全体に対する重量の割合」(同上)とあるから、ある程度食べる量に近くなっててもいいんじゃないか。

 あと考えられるのは可食部の廃棄、つまりはゴミの差だろうか。だとすれば最近では減ってきているから喜ぶべきことだけど、たぶんこれも違うだろう。

 それに両者で差が大きいだけでなく、動きもまるで正反対だ。

 まあよくわからないことだらけだけど、「近年野菜の摂取量が減っている」と言っている人は、たぶん食料需給表の数字を使っているんだろうなあ、ということだけはわかった。

追記(12/26)

 『健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック』の72ページでは食料需給表による供給熱量と、国民健康栄養調査による摂取エネルギーの変化を一緒にグラフにしている。そのグラフでは供給熱量はずっと微増で、対する摂取エネルギー量は微減であるので、両グラフは本当に少しずつではあるが差が開いている状況にある。

供給量が需要量よりも多く、近年その差に増加傾向が認められる。これは廃棄物が増加したことを示していて、わが国の飽食状態を表している。
(『健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック』p72)

 ほんとに? なら上のグラフも、野菜の廃棄量が減少していることを示してるの? それなら前にも書いたように喜ぶべきことだし、供給量のグラフを見て「野菜の摂取量が減少している!」って煽っている人の意に反して、実はいい変化が見てとれるグラフであったりして痛快なんだけどなあ。