栄養調査によれば、95年に野菜摂取量が急増している

 食糧需給票に関してで見たグラフによれば、栄養調査での野菜摂取量は95年に急増しているのがわかる。94年との比較で、35g以上の増加だ。

 年毎の増減はあるものだし、全体の流れを見るにはたいしたことじゃないのかもしれない。ただ、突然変化したところがあれば統計の取り方が変わったことを疑えと授業で聞いた記憶があるので、ちょっと疑って調べてみた。

1回あたりの調査日数も以前は3日ないしは5日間であったが、平成7(1995)年からは1日の調査となっている。

国民栄養調査とは

 変わったところはこんなものかなあ。それまで三日もしくは五日調査であったことで平均化されていた日ごとの摂取量変化が、一日調査になったことで平均化されなくなったとか? でも約5,000世帯、約15,000人が対象だからそこら辺は十分ならされそうなものだけど。

 他の食品群はどうだろうと思って、1994年の摂取量を1.0としたときの摂取量年次推移グラフを作ってみた。もし統計の取り方の違いが影響しているなら、94→95年のところでそれまでの動きとは異なる変化が見えて、95年からはまたもとの動きが見られるんじゃないか。




 95年統計で前後のトレンドと違うなあと思うのは、「米類」「菓子類」「調味嗜好飲料類」「緑黄色野菜」「その他野菜」だろうか*1「きのこ類」は95年に大きく増えてはいるけれど、その後増加傾向だから数値はともかく傾向としては一致する。「肉類」「乳類」は、逆に大きな変化ではないけれど、94年以前と95年以降の変化のなさを考えると、95年は摂取量がかなり増加した年といえるのかもしれない。

 これが統計の取り方が変わったことによるものなのか、それともなにかしら一時の流行みたいによるものなのかはわからない。ただ、以前見たように95年以降の野菜摂取量はほぼ横ばいなだけに、「野菜摂取量は減少している」言説を否定してむしろ増加しているのが見られる統計だと思ってたけど、実際のところは案外増加もしてないんじゃないかと、ちょっぴり疑ってしまう。*2

追記

 平成15年の国民健康栄養調査の年次別結果(pdf)によれば、平成13年から分類が変更されて、

  • ジャム:砂糖類→果実類
  • 味噌:豆類→調味料・香辛料類
  • マヨネーズ:油脂類→調味料・香辛料類

になり、また同じく平成13年から調理を加味された数量になって、

  • 米→めし・かゆなど
  • 干しそば→ゆでそばなど
  • 乾燥わかめ→水戻しわかめなど
  • 茶葉→茶浸出液など

で算出されるようになったとある。

 きっと、ほかの年ほかのことでも、変更されているものはあるだろう。時代に沿うように、またより適切であるように変わっていくんだろうけど、経年変化を見るのは難しい。

*1:種実類の変化はよくわからない。94年に急増して、95年も急増している。まあ1.4→1.7→2.1gとグラムにしちゃえばたいした事ないし、さかのぼれば85年から87年も1.4→1.7→1.5gという変化している。種実類は軽いのが多いから(頻度で言えば一番使うのって「ごま」じゃないかなあ)、他の食品と同じく小数点以下第一位までの計測だと、0.1グラムの変化が大きな変化に見えてしまうというのもあるんだろう。

*2:それでも、緑黄色野菜に関しては前後ともに増加傾向だから、増えてはいるんだと思う。その他の野菜は減少傾向が見られているところ95年の急増で巻き返した部分があるから、これが統計の差異によるものだと、野菜トータルではあんまり増加していないのかもしれない。小さな変化にとらわれすぎるなってのはあるだろうけど。