ケトン体の「飢餓」
ケトン体の説明として、よく「飢餓状態でエネルギー源として活用される」というのがあるけれども、具体的にいつ頃からケトン体がエネルギー源として利用されるのかこの「飢餓時」という説明からは見えてこなかった。普通に一食抜いたくらいで利用されるのか、それとも、もう何日も食うのに困っていますみたいな状況で活躍しだすのか。「飢餓時」の字面から言えば後者なんだけど、実際のところどうなのか疑問に思っていた。
『イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書27版』のp156に、「飢餓開始時の代謝パラメータの相対変化」というグラフが載っている。これによれば、血中ケトン体はだいたい絶食時間が6時間くらいで上昇し始めている。ケトン体がエネルギーとして利用される「飢餓時」は、どうやら空腹時でいいみたいだ。
また、同じページに「摂食時、および飢餓状態の代謝エネルギー源の血漿濃度(mmol/L)」という表がある。
摂食 | 40時間絶食 | 7日間飢餓 | |
---|---|---|---|
グルコース | 5.5 | 3.6 | 3.5 |
遊離脂肪酸 | 0.30 | 1.15 | 1.19 |
ケトン体 | 無視できる | 2.9 | 4.5 |
遊離脂肪酸は意外なことに、空腹後は絶食が続いても、グルコース同様にほぼ一定の濃度を保っている。ケトン体は空腹で上昇し始め、それが続くとどんどん濃度が上昇していくようだ。