朝食に大豆を食べるようにした理由——たんぱく質は満腹感がある?
最近大豆をよく食べるようになった理由として「なんか大豆って健康に良さそうじゃん」というのは嘘ではないのですが、朝食に食べるようになったことに関しては、もう少しちゃんとした理由もあるのです。
曰く、たんぱく質は満腹感をもたらす。
朝はちゃんと食べてから家を出て行くものの、お昼前に空腹が襲ってきて困っていたので、ここはたんぱく質を摂取して満腹感を持続させようとの考えなのです。ただ、今手元にある本を探してもこのような記述が見当たらない。一応、ある程度ちゃんとしたもので目にした記憶があるんですけど、見つからないのでひょっとしたら嘘記憶かもしれません。
でも、その記憶が仮に嘘だったとしても、僕には健康・栄養研究所のサイトで見た「熱産生、満腹度と減量に対する高たんぱく食の効果:批判的レビュー」の紹介記事がついています。これで学術的にたんぱく質の満腹感についての評価がどうなのか、うかがい知ることができるでしょう。
残念ながら健康・栄養研究所で訳されているCRDによる論評解説によれば
制限された文献検索、有効性評価の欠如、レビュー方法の詳細欠如により、これらの結論の信頼性を評価するのは困難である。
らしいんですけど、でも興味がありますし、いい機会ですのでレビュー結果だけでも読んでみましょう。
例によって例のごとく、英語の不出来は栄養学のそれを上回るので、正確な内容をお求めのかたは原文をお読みになることをお勧めします。
The effects of high protein diets on thermogenesis, satiety and weight loss: a critical review
体熱産生について
- 15の無作為化比較対照試験。
- 摂取したエネルギーの割合で熱産生を評価した6つの研究:高たんぱく食は低たんぱく食と比較して、多くのエネルギーが費やされていた。
- キロジュールで発熱量を評価した3つの研究:高たんぱく食が高炭水化物、高脂質食と比較して、有意に発熱量が高かった。
- ほかのいろんな基準で発熱量を測定した6つの研究:高たんぱく食で発熱量が増加した。
満腹感について
- 14の無作為化比較対照試験。
- 11の研究で、高たんぱく食を与えたものはほかのものに比べて、主観的な満腹感が有意に増加した。
- 3つの研究で、高たんぱく食と低たんぱく食で違いは見られなかった。
その後のエネルギー摂取量について
- 15の無作為化比較対照試験。
- 8つの研究で、高たんぱく食を食べたあとで、低たんぱく食を食べたあとと比べて、エネルギー摂取量が低下。
- 7つの研究で、有意な差はなし。
体重減少について
- 15の無作為化比較対照試験。
- 7つの研究で、高たんぱく食で、有意に、より大きな体重減少あり。
- 8つの研究で、高たんぱく食と低たんぱく食で有意な差はなし。
脂肪の減少について
- 10の無作為化比較対照試験。
- 3つの研究で、高たんぱく食が低たんぱく食と比べて、より多くの脂肪減少があった。
著者の結論
高たんぱく食は短い期間では体重減少を促進するかもしれないが、最終的な結論を下す前に、もっと長期間の研究が必要だ。
補足と、その他
補足すると、体重減少の研究では「そのほとんどは摂取エネルギーを固定して」行われたそうです。高たんぱく食摂取後のエネルギー摂取が低下するとしたら、体重減少は単純なエネルギー収支からも促進されるんじゃないかと思います。
主な興味対象だった満腹感ですが、高たんぱく食で満腹感は増加しそうだ、と言えるでしょう。ただ、このレビュー本文を読んでないし、このレビューが取り上げた研究も読んでないのでわかりませんが、主観的な満腹感だけでなく、次にいつ食事を摂りたくなって、それはどの程度のものであったかを調べてほしいと思います。主観的には「満腹感増加した」、だけど二時間後にアイス食ってます。じゃあ、あまりあてになる満腹感ではありませんからね。
その意味では、むしろ「その後のエネルギー摂取について」のほうが、僕の目的にはあった研究かもしれません。なのでそっちで判断すれば、8/15で摂取量低下ですか。ギリギリ勝ち越してるから摂取量低下しそうだけど、それこそもっと調べてみないとわからない感じです。