朝食食べないと代謝が下がる?

 さらに蛇足ながら、朝食を食べないと太るとか太らないとかで紹介した「食習慣と骨粗鬆症」の表を見ると、朝食欠食群の体重は平均で52.6kg、摂取エネルギーは平均1740.6kcal、朝食摂取群のそれらは54.5kg、1998.9kcalとなっています。つまり、朝食欠食群は朝食摂食群と比較して、ざっと体重で2kg軽く、摂取エネルギーで250kcal低くなってているというわけです。

 まったくの印象ですが、250kcal少なければ、もっと体重が軽くてもおかしくないように思います。朝食欠食群は朝食摂食群と比べて、エネルギー効率がよさそうに見えるのです。

 必要エネルギー量は「基礎代謝基準値 × 体重 × 身体活動レベル」で求められます*1し、せっかくですので計算して、印象を確かめてみましょう。

 厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準〈2005年版〉によれば、この研究の対象者19〜25歳女性の基礎代謝基準値は23.6kcal/kg体重/日です*2。朝食摂食群の一日に必要なエネルギーを摂取エネルギーとイコールであると仮定すれば、

 23.6kcal/kg/日 × 54.5kg × 身体活動レベル = 1998.9kcal

だから、身体活動レベルは1.55となります。どうでもいいですが、身体活動レベル「普通」の代表値が1.75で、「低い」の代表値が1.50だから、この人たちはあまり運動しない人たちなのかもしれません。

 さらにこれも仮定ですが、朝食摂取群と朝食欠食群の間に身体活動レベルに差がないとすれば、

 23.6kcal/kg/日 × 52.6kg × 1.55 = 1924kcal

となるので、朝食欠食群、というか体重52.6kgの人の一日に必要なエネルギー量は1924kcalとなって、朝食摂取者、というか体重54.5kgの人が一日に必要とするエネルギー量との差は、70kcalほどになります。

 朝食摂取群と朝食欠食群の体重差である2kgでは、一日の必要エネルギー量が70kcalほどしか違わない。でも実際には、朝食欠食群は朝食摂食群と比較して、250kcalも摂取エネルギー量が少ない。逆に言えば、250kcalも少ないのに、2kgしか違わない。

 250kcal違えば、

 23.6 × 体重 × 1.55 = 250kcal

だから、6.8kg→7kgくらいは少なくてよさそうなものです。それが2kgしか違わないんだから、最初に抱いた印象は間違っていないようです。仮定の多い数字上のことだけど。

*1:小児の場合は、これに「エネルギー蓄積量」をプラスする。

*2:ちなみに、もうすぐ使われることになる2010年版だと、少し下がって22.1kcal/kg体重/日です。