本当は古い(かもしれない)管理栄養士

 地震等々ありまして今日このような事態になっているわけですが、宮城会場を除いて管理栄養士国家試験は予定の日程通り開催するらしいのです。したがいまして、今書かなければもう書く機会もなくなるであろう模試の解答集からです。

 模試は今をさかのぼること1月あまり、2月の初旬にございました。わたくしはその日も、他の模試を受験した時と同じように、試験中はもっぱらうんうん唸って己の未熟さを感じ入ることのみに集中しました。そして試験終了後自宅に帰ると、すぐさま手にした解答集をもとに答え合わせをしたのでした。

 解答集に気になる記述があるのはいつものことなので、さほど気にもせずに怪しい箇所は自分で調べ、やっぱあってんじゃーんなどと進んでいたのですが、「やまのいもはアミラーゼを多く含むため生食できる唯一の芋類である」との記述にはたと手を止めました。

 もし仮に、模試の前々日にこの記述を目にしていたら、わたくしはなんら気にせずああそうなんだと記憶の一片にそのまま残していたはずです。しかしながら、わたくしはたまたま模試の前日に、次のような記述を目にしていたのでした。

現在では、ヤマイモのアミラーゼ含有量はあまり多くないということがわかっており、ヤマイモが生食されるのは、ヤマイモの澱粉細胞壁の厚みがうすく、セルロースの含有量が少ないため、α-アミラーゼの消化を受けやすくなるからだろうとされている。
(『「こつ」の科学―調理の疑問に答える』p54)

 しかもこれ、

 ヤマイモはイモ類の中ではもちろん、澱粉質食品全体の中でも、珍しくなまで食べられることができる食品です。その理由はヤマイモに強力なアミラーゼ(澱粉分解酵素)が多く含まれており、なまで食べたほうが澱粉の消化がよくなるといわれるからです。
(同 p49)

と本文中にあって、その訂正として注で書かれているのです。

 この本は2006年に発行された新装版で、初版は1971年発行されています。1971年当時はアミラーゼが多いから生食できるんだと思われていたのが、遅くとも2006年にはいや実はアミラーゼ多くないよと新たな知見が蓄積された結果の注であると見てとれます。

 にもかかわらず、2011年に受けた模試の解答解説に、まだ「アミラーゼが多いから」と載り続けている。

 試験対策に使っている2010年発行の参考書には、舌の先端では甘さを感じます的な味覚分布図を堂々と載せていたりするし*1、なんか管理栄養士の持っている・持とうとしている情報って古いんじゃないの? との疑念が湧き上がった一日だったのです。

*1:どころか、2007年頃には栄養士の学校で、この味覚分布をもとにした実験とかしたしね!