紅茶の淹れ方論争

大英帝国の遺産である茶は、イギリスでその力を維持している。ミルクなしで飲むものもいる。おそらくジャスミンの香りのするアールグレイを選んで、レモンの薄切りを加えて飲むだろう。しかし大多数の人間はミルクを加える(カップにミルクと茶のどちらを先に入れるかは論争中だ)。
(『朝食の歴史*1』p128)

 あ、これってまだ論争中なんですか。『代替医療のトリック*2』では、決着ついていそうな書き方でしたが。

ケンブリッジ大学にいた当時、彼(サー・ロン・フィッシャー)は理想的なお茶の淹れ方はいかにあるべきかという論争に巻き込まれた。ひとりの女性が、ミルクあらかじめカップに入れておき、そこにお茶を注ぐべきであって、お茶にミルクを注げば味が落ちてしまうと言い張ったが、同じテーブルにいた科学者たちは、そんなことで味に違いは生じないと言った。そこでフィッシャーはすぐにひとつの試験を提案した――お茶にミルクを注いだときと、ミルクにお茶を注いだときとで、味を比べてみようではないかと。
(『代替医療のトリック』p194)

 で、盲検をするわけですが、その女性は見事にお茶にミルクを注いだものと、ミルクにお茶を注いだものを言い当てる。

実際、この二つの作り方でミルクティーの味が変わるのには、立派な科学的根拠がある。お茶にミルクを注ぐと味が落ちるのだが、それはミルクの温度が急激に上がりすぎて、ミルクの含まれるタンパク質が変質してしまうからだ(変質したタンパク質は酸味を帯びる)。
(『代替医療のトリック』p194-195)

 ちなみに、ネットで探してみるとHow to make a perfect Cup of Teaという記事が英国王立化学会から出てて、そこにも

Pour milk into the cup FIRST, followed by the tea, aiming to achieve a color that is rich and attractive.

とあります。

 というわけで、やっぱり論争は終わったのではないでしょうか。