「有機が最良だ」をサポートする証拠はない

 英語の勉強をかねて、国立健康・栄養研究所の海外最新ニュースから気になった記事を訳してみた。英語の不出来に関しては栄養学のそれを上回ると思うので、正しい内容を知りたい人は原文をあたってください。

 しかし「有機野菜はより多くの栄養を含んでいる」という考え方自体が新鮮だった。有機野菜を選ぶのは、栄養豊富だからじゃなくて安心だからだとか、環境に配慮した農業を支援したかったりするからだと思っていた。

 どれくらいの人が「栄養があるから」で有機作物を選んでるんだろう。

有機が最良だ」をサポートする証拠はない

 化学産業学会(SCI)刊行の「食料と農業の科学」に載っている新しい研究によれば、有機栽培によって育った作物がより栄養素を含んでいるという意見をサポートする証拠はないという。

 SCIの「食料と農業の科学」最新刊に載っている新しい研究によれば、オーガニックフードが農薬や化学肥料を用いた食品よりもいい、とする根拠をサポートする証拠はない。

 多くの人が、農薬や化学肥料で育てた食品よりもより栄養素が含まれているという信念のもと、有機食品により多くのお金を払う。

 しかし、Susanne Bügelとコペンハーゲン大学の人間栄養学部の仲間たちによる研究では、これを支援する明確な証拠はないという。

 含まれるミネラルと微量成分を調査する最新の研究では、動物を二年間三つの異なる栽培方法で育てた作物を食べさせて飼育する実験を行った。

 この研究で調べられたのは、以下の作物である。にんじん、ケール、熟したえんどう、りんご、じゃがいも――家庭でよく使われる食材だ。

 一番目の栽培方法は、動物の排泄物を肥料として使い、あまり栄養分を入れない土で、農薬を用いない方法(ケールを除く)で育てるもの。

 二番目の方法は、同じくあまり栄養分を補充しない、動物の排泄物を肥料とした土と、定期的に農薬を散布して育てるもの。

 最後、三番目の方法は、化学肥料でたくさん栄養分を入れた土で、定期的に農薬を散布して育てるもの。

 作物は同じか、似たような土壌で育てられた。隣接した場所、同じ時間、同じ天候状況。同じ時期に収穫され、同じ時期に処理された。有機作物の場合は、すべて確立された有機土壌で育てられた。

 収穫後、測定した結果によれば、栽培方法の違いによって含まれる主要栄養素も微量栄養素も違いは見られなかった。

 有機作物と通常の農薬を用いて育てられた作物は、二年間動物に与えられた。さまざまなミネラルと微量栄養素の摂取量と排泄量が測られた。結果は再び、作物がどう育てられたかによる栄養素の保有量に違いは見られなかった。

 Dr Bügelは、「調査した五つの作物に関して、有機農法や標準的な栽培方法などの栽培方法の違いから系統だった違いが見られる、ということはなかった。この研究は、有機作物は一般的に標準的な農作物よりも栄養素を含んでいるという考えをサポートしない」

 SCIの生物資源会の名誉会長(?)Dr Alan Baylisは、こう付け加える。「作物を雑草、害虫、病気から守るために使われる現代の化学薬品は、広範囲にわたりテストされ、厳しく規制されている。また、いったん土の中に入れば、ミネラルはその由来が自然からのものであろうと化学肥料からのものであろうと、化学的にはまったく同じものだ。有機作物は、収穫量が低いことが多い。有機作物を食べることは、余裕のある人たちに許されたライフスタイルの選択肢だ」