朝食後の血糖値で分散が大きい

 「空腹時間が長いと、食後血糖値が高くなる」で見た「朝食欠食が昼食後の血糖値変動に及ぼす影響」で、もうひとつ面白いなあと思ったのが、血糖値の分散です。

 たとえば、食後60分後の血糖値を比べると、「朝食」「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」でそれぞれ0.5*1、10.8、31.0mg/100ml、「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」との間に有意差があるという結果になっています。

 「朝食」で0.5、「朝食摂食・昼食」で10.8と、「朝食」のほうが血糖値の平均がはるかに低くて「朝食欠食・昼食」との差が大きいにも関わらず、「朝食」と「朝食欠食・昼食」との間に有意差はなく、「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」との間に有意差がある。なぜそうなるのかと言えば、「朝食」の分散が大きい=ばらつきが大きいからです。

 「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」の分散がそれぞれ191.1、297.5であるのに、「朝食」のそれは596.2もあります。分散の正の平方根標準偏差らしいので標準偏差に直してみれば、それぞれ13.8、17.2、24.4になります。まあ標準偏差にしたからといってそれの統計的な意味合いはよくわからないのですが、少なくとも文脈的な意味合いでは、ほかの2つに比べて「朝食」ではばらつきが大きいのだという、先ほど言ったことをもう一度繰り返して強調する、反復法程度にはなったでしょう。

 「朝食」の分散が大きいのは、なにも食後60分に始まったことではありません。そもそも彼(=「朝食」の分散)は、食事摂取前から大きかったんです。「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」の二人が、それぞれ32.0、14.1ととても可愛らしい値をだしているときに、すでに彼は、415.1という大きな値をたたき出していました。これでは彼ら(=「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」の二人)に、太刀打ちできるはずがありません。

 「朝食」の猛威が最高潮に至るのが食後120分で、そのとき彼は、896.1という値にまで到達します。他の二人が、64.5、61.3という値なのにもかかわらず! 私たちには、もう、「朝食」の分散に飲み込まれる以外の道は残されていないのでしょうか?

 空腹時間が個人間のばらつきを作ったと考えれば、「朝食」よりも「朝食欠食・昼食」のほうでばらつきが大きくなってしかるべきでしょう。したがってこの説は誤りです。やはり、「朝食」食べる前の睡眠に、この謎を解く手がかりでもあるのでしょうか。活動が血糖値をある一定に保つ*2役割をしていて、睡眠中はそれが弱くなるので、睡眠直後の「朝食」において、血糖値の個人差が大きくなったとかなんでしょうか? 「朝食」後の血糖値ですべてマイナス変動を記録した二人が、62歳、58歳の高齢者であることも、なにか意味のある結果なんでしょうか。

 そこら辺の疑問に答えてくれそうなの希望。たった6人の結果だからこそ生まれた偶然です。なのかもしれませんけど。

*1:6人のうち3人が摂食前と比べてマイナス変動という驚きの(「糖質投与後の血糖値のピークは投与後15から30分の間に現れ、いったん下降したのち時には再び緩やかに上昇する」(「朝食欠食が昼食後の血糖値変動に及ぼす影響」)らしいので、驚きの、ではないのかもしれないけど)現象の結果、平均値が0.5なんていうものすごく小さい値に。もっとも食後60分に限らず、このうちの2人は食後血糖値が食前のと比べて常にマイナス変動なんだけどね! 高GIで血糖値が急に下がってお腹がすくとか聞くけど、ならこの2人は食後30分からずっとお腹すいてたのか?

*2:といったって、睡眠中だって「ある一定に保」っているんだろうけどさ。