食品の安全性に対して支払ってもいいと考える金額は、教育水準によって異なる
というのは、『食品の安全性を考える』*1で紹介されているノースカロライナ州立大学の研究です。食品のリスクが1/3に減少すると証明されれば、今ある商品に対するよりもどの程度追加的に代金を支払う意思があるかを調べたらしいのですが、結果は以下のようになったそうです*2。
年間所得 | 追加支払い意思額(ドル) | 回答者数 |
---|---|---|
15,000ドル以下 | 0.83 | 35 |
15,000〜45,000ドル | 0.64 | 124 |
45,000ドル以上 | 0.58 | 117 |
教育水準(年数) | ||
16年未満 | 0.88 | 103 |
16年以上 | 0.50 | 173 |
健康への関心 | ||
高いほう | 0.87 | 200 |
低いほう | 0.55 | 76 |
しかしこれ、結構意外な感じがするのですが、本当なんでしょうか。
健康への関心が高いほうが追加的により多くのお金を支払う意思があるというのは、そりゃそうだろうと思うのですが、年間所得で見れば低い人のほうが高い人よりも追加的に支払おうと考えています。所得の低い人が所得の高い人と同じ額支払うにしたって、相対的な負担では所得の低い人のほうが大きくなるわけです。したがって、もし仮に同額支払う意思であったとしても、所得の低い人のほうが食品のリスクに敏感だと言えるでしょう。それが、より多く支払う意思があるだなんて、にわかには信じられません。
また、教育水準の高い人のほうが、教育水準の低い人よりも追加的に支払おうとする額が低いというのも、ちょっと不思議な感じがします。一般的な、というか、わたくしの思う一般的なイメージでは、教育水準の高い人のほうが健康への意識が強いものと思っていましたので、それがあまり追加的に支払う意志がないというのは驚きです。
これは、教育水準高い人のほうが健康への意識が低いということの現れなのか*3、それとも、教育水準の高い人のほうが、専門家のリスクメッセージをしっかりと受け止めていて、現在あるリスク水準にそれほど不満があるわけではないということの現れなのか。
表の読み取りかたが間違っているに過ぎない。というのも、選択肢に入れとこうとは思います。