『日本型食生活の歴史』の、部分的にしか読んでないから部分的なまとめ
- 作者: 安達巌
- 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
- 発売日: 1982/03
- メディア: 単行本
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突っ込みたいところはあるんだけど、でもなんかモヤモヤして突っ込めないままになっていたので、はっきりさせるためにまずは彼の主張をまとめてみましょう。
戦前(昭和9〜13年平均)と昭和54年の比較
いかに日本の食事が欧米化してきたか、のための比較です。それによると、摂取量は和食に結びつく食品で、
- 米:40%ダウン
- 大麦・裸麦:95%ダウン
- いも:55%ダウン
- 穀物全体:27%ダウン
- 豆:横ばい
- 野菜:60%アップ
- 魚介類:3.6倍
となっているのに対し、洋食に結びつく食品で、
- 果物:2.7倍
- 肉:10倍
- 卵:6.4倍
- 牛乳・乳製品:19倍
という変化をしてきていて、和食に結びつく食品の摂取量ダウン、洋食に結びつく食品の摂取量アップが示されています。またこれにともなって、
- カロリー:24%アップ
- たんぱく質:35%アップ
- でんぷん質:37%ダウン
になっていると言います。動物性食品の摂取量は5.4倍に、油脂類は11.6倍に、動物性たんぱくは3.7倍になっていて、「革命的といってもよい食卓構造の洋風化を示してあまりある現象」(p222)だそうです。
農政審提示の「日本型食生活」は妥当か
農政審は高でんぷん食のアジア型と過栄養の欧米型の真ん中、中庸が日本型としていいと言っているけれど、これは妥当なのかを考えます。そもそも農政審に影響を与えているだろうアメリカ上院の栄養問題委員会の目標数値*1は、食生活は急には変えられないという妥協の産物で、本当はもっと劇的な内容もあるのだといいます。
現にアメリカ上院レポートもこの点に言及し、「高でんぷん食の国民のほうがはるかに健康である」と断定している。ここでいう高でんぷん食とは、カロリーの六五〜八〇%をでんぷん質からとることを意味している。
(『日本型食生活の歴史』p253)
そんな高でんぷん食を食べている国は韓国を除いてすべて発展途上国で、その国々では成人病に脅かされてはいない、だから糖質(もう少し本文の意味をくめば、砂糖をぬかした糖質、特に多糖類)をもっとたくさん摂取すべきだといいます。
多糖類や天然の食品に含まれる糖質をとらないとよくない。逆に穀物やジャガイモなどからのエネルギーが、総エネルギーの六五〜八五%にあたる場合、冠動脈疾患の発生頻度は低くなる。
(同上)
だから、農政審は昭和53年の日本が適正だというけれど、それは違うと。65%〜85%のエネルギーをでんぷん質から得ていたのは昭和30年から45年までで、それ以降は栄養過剰であるといいます。
実際、昭和30年と53年で成人病の疾患伸び率を見てみると、減ったのは4種、増えたのは18種と、増加しているほうが多のです。特に、脳梗塞は699%、虚血性心疾患は343%、肺がんは553%と激増。もちろん成人病の総死亡に対する割合も激増していて、それだけでなく若年化もしているといいます。
したがって、このように問題を煮つめていくと、アメリカが指摘し、厚生省もよかったとする昭和三〇年代から四五年代の食生活に戻ることが、成人病と訣別し、民族の滅亡を防ぐための欠くべからざる要件となる。
(同 p259)
- 炭水化物への依存度を引き上げ、脂質への依存度を引き下げる。
- 肉食依存度を引き下げて、穀物菜食依存度を引き上げる。
これらが成人病から逃れるためには必要で、そのためには昭和40年代の平均的食生活が好ましいとしています。