環境中の合成化学物質の発がん性リスクは微々たるもの
主要な保健機関は、環境中の微量の化学物質が大きな危険因子でないことに同意している。きわめて重要なのは生活様式である。喫煙、飲酒、食事、肥満、運動。これらはきわめて大きな影響を及ぼす。ほとんどの推定で、すべての癌のおよそ六十五パーセントの原因とされている。
(『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』p 342)
65%! どこかで見たことある数字と近いと思ったら、「未来の食卓」です。こちらの映画では、ヨーロッパにおけるがんや生活習慣病の70%は食習慣を含む環境に原因がある、と言っていました。少し数字が違うけどほぼ同じだし、映画内で紹介されている70%という数字にそれほど間違いはないんでしょう。
でも、環境中の化学物質はその70%中の大きな割合は占めていないと同意されているようですし、
ブルーム・エイムズ*1は「一般人が口にする食事由来の殺虫剤のうち、九九・九九パーセントは天然のものである」と推定しており、テストした全化学物質(合成したものと天然のもの)の半数が、実験室における動物実験で多量投与した場合癌を引き起こした。(略)(合成化学物質が原因となって引き起こされる癌を)エイムズは、一パーセントよりずっと小さいと考えている。
(同 p342)
というから、食事由来の合成化学物質*2だって、70%中の大きな割合は占めていません。
ほとんどの推定値が示すところでは、先進国における癌の半分以上が生活様式の変更だけで防ぐことができる。これには、運動から体重管理まで様々なものが含まれ、当然、禁煙も含まれる。環境中の合成化学物質がもたらす癌の正確なリスクがどんなものであろうと、そのリスクはゾウの隣にいるイエバエに過ぎない。
同 p371
イエバエ、だそうですよ。
どうでもいいけどエイムズさん
ブルース・エイムズってエームズ試験のエームズさんだったのね。
エームズ試験(Ames test)とは、物質の変異原性を評価するためのバイオアッセイ試験法である[1]。カリフォルニア大学バークレー校のブルース・エームズ(Bruce N. Ames)教授らにより1970年代に開発されたため、エームズ試験の名がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/エームズ試験
なんか教科書に出てくる人だと、亡くなっているもんだと勝手に思い込んでしまう。