バナナは血糖値を急に上昇させるのか
先日久しぶりにお会いした北村さん(仮名)は、この間お医者さまから糖尿関係で減量を勧められたそうです。そのとき、少し前から朝バナナダイエットをはじめたと伝えたところ、「バナナは血糖値を急に上げるからよくない」と言われたそうです。
バナナってそんなに急に血糖値を上げるものなんでしょうか。少なくとも白米やパンよりはグリセミック・インデックス(GI値)は低く、なおかつグラムあたりの糖量も少ないと思われるので、当然のようにグリセミック・ロード(GL値)*1も低いとわたくしは認識しております。したがって、バナナが血糖値を急に上げるのでよくないというのであれば、ご飯やパンだっていけないんじゃないかと思うのです。
孫引きで申し訳ないですけど、臨床栄養 Vol 111 No. 2の「最強の抗糖尿病薬 〜未精製炭水化物〜」で引用されている『太らない、病気にならない、おいしいダイエット ―ハーバード大学公式ダイエットガイド』p143の主要な炭水化物源の血糖指数と血糖負荷(白パンに対して)から抜粋すれば、
食品名 | 分量 | 血糖指数(%) | 炭水化物(g) | 血糖負荷 |
---|---|---|---|---|
白パン | 1切れ | 100 | 12 | 12 |
ご飯 | 1カップ | 102 | 45 | 45 |
バナナ | 中1本 | 88 | 27 | 23 |
といった具合になります。これを見ると、意外にバナナのGIは高いみたいです。また同じく意外なことですが、白パンの炭水化物量は低いです。結果としてGLは、「ごはん>バナナ>白パン」となっています。
この表のみから考えれば、バナナが血糖急上昇を理由として勧められないというのであれば、白パンはともかく、ご飯も食べられなくなっちゃいますけどお医者さまそこらへんどうなのでしょう。
まあ、GIは一緒になにを食べるかによって変動する(たとえば、「米飯と牛乳」のGI(グリセミック・インデックス))でしょうから、食べあわせによって血糖上昇がゆるやかになるご飯・パンに比べて、それ単体を食べる朝バナナダイエットでは、バナナのほうが血糖上昇するのでよくありませんよ、ということなのかもしれません。もしくは、フルクトースはあまり減量向きではないからとか、ちゃんとした食事のほうを勧めたくて、とか。
追記
上のエントリーを書いている途中にちょっと混乱したんで書いておくと、グリセミック・インデックスは同糖量による二時間後までの血糖上昇を比較したものです。
たとえば上で抜粋した表にはにんじんがあって、そのGIは131、分量は1/2カップ、炭水化物量は4、GLは5となっています。にんじん100gを食べてGIを測定するのであれば、対象となるものの糖量(通常はグルコースだと思いますが、上の表では白パン)は4gです。4gの糖量を含む白パンと比較して、にんじんは131%血糖の上昇が見られる。でも、にんじん1/2カップに含まれる炭水化物は4gだから、GIは131だけれども、にんじん1/2カップのGL、血糖負荷は5しかない。1切れの白パンと比べてば、血糖に対する負荷は少ないんだ、ということになります。
というようなことを、こちらで勉強いたしました。
*1:「食物中の炭水化物量に、その炭水化物のGIを乗じたもの」(「最強の抗糖尿病薬 〜未精製炭水化物〜」臨床栄養 Vol 111 No. 2 p212)