話のついでに、身体活動レベルの算出でも。
身体活動レベルの話をしたのですから、その算出方法についてのお話をするのが筋というものでしょう。いえ仮に筋ではなかったとしても、今の身体活動レベルを把握しておくのはわたくし自身にとっても悪くないのではないかと思うので、ひとつ昨日の生活をもとにわたくしの身体活動レベルを計算してみましょう。
わたくしの昨日の生活は、大雑把にいって
- 睡眠:7時間
- 仕事:9時間
- 通勤(徒歩):片道15分
- 通勤(自転車):片道15分
- 通勤(電車):片道15分
- 食事:三食それぞれ20分ずつ
- 買い物:30分
- 入浴:20分
- パソコンとか読書とか:3.5時間
こんなものですが、これだと合計が1370分で一日には70分足りません。まああまりしませんが、たぶん家事をしている時間も総計すれば30分くらいにはなるでしょうから、それを入れるとあと40分。家を出る前の準備とかで20分くらいと、あと電車待ち時間その他で20分、ということでいいでしょう。また、仕事はほとんど事務仕事ですが、それでも多少歩いたりする時間もあるので、うち30分は歩いてるということにします。
活動内容 | 時間(分) |
---|---|
睡眠 | 420 |
仕事(事務) | 510 |
仕事(歩行) | 30 |
通勤(徒歩) | 30 |
通勤(自転車) | 30 |
通勤(電車) | 30 |
食事 | 60 |
買い物 | 30 |
入浴 | 20 |
パソコン・読書 | 210 |
家事 | 30 |
準備 | 20 |
電車待ちほか | 20 |
合計 | 1440 |
一日に行った活動とその時間がわかったら、次に各活動の時間にその活動の活動強度動作強度(Af)を乗じます。おおまかな値は食事摂取基準の参考2にありますが、これだとわかりにくいので『基礎栄養学』p187にある、付表2「日常生活の活動強度の区分」を参考にしました。
活動内容 | 時間(分) | Af | Af×時間(分) |
---|---|---|---|
睡眠 | 420 | 1.0 | 420 |
仕事(事務) | 510 | 1.6 | 816 |
仕事(歩行) | 30 | 2.2 | 66 |
通勤(徒歩) | 30 | 4.5 | 135 |
通勤(自転車) | 30 | 3.6 | 108 |
通勤(電車) | 30 | 1.0 | 30 |
食事 | 60 | 1.4 | 84 |
買い物 | 30 | 2.2 | 66 |
入浴 | 20 | 1.5 | 30 |
パソコン・読書 | 210 | 1.0 | 210 |
家事 | 30 | 1.4 | 42 |
準備 | 20 | 1.5 | 30 |
電車待ちほか | 20 | 1.3 | 26 |
合計 | 1440 | 2063 |
Af × 時間(分)の総計は、2063でした。これを、動作強度1.0で一日を費やしたときの数値1440で割って出た値である、
2063 / 1440 = 1.43
1.43が、わたくしの昨日の身体活動レベルということになります。1.43ですから、学生時代のテスト前であるとある一日よりも、多少は活動的な日を過ごしてたという事になるでしょう。食事摂取基準に示された「低い」の範疇には入れる日々のようです。
METsから計算してみる
Afの表がない場合は、邪道で正確さも下回るでしょうけど、METsから計算することもできます*1。METsは、以前みたように、行った時間(時)を乗じればエクササイズになり、エクササイズに体重と1.05を乗じれば消費カロリーになります。
試しに上の活動内容をMETs*2で計算してみると、
活動内容 | 時間(分) | METs | エクササイズ | 消費カロリー |
---|---|---|---|---|
睡眠 | 420 | 0.9 | 6.30 | 397 |
仕事(事務) | 510 | 1.0 | 8.50 | 536 |
仕事(歩行) | 30 | 3.3 | 1.65 | 104 |
通勤(徒歩) | 30 | 2.5 | 1.25 | 79 |
通勤(自転車) | 30 | 4.0 | 4.00 | 252 |
通勤(電車) | 30 | 1.0 | 0.50 | 32 |
食事 | 60 | 2.0 | 2.00 | 126 |
買い物 | 30 | 2.3 | 1.15 | 72 |
入浴 | 20 | 1.5 | 0.50 | 32 |
パソコン・読書 | 210 | 1.0 | 3.50 | 221 |
家事 | 30 | 2.5 | 1.25 | 79 |
準備 | 20 | 2.0 | 0.67 | 42 |
電車待ちほか | 20 | 1.2 | 0.40 | 25 |
合計 | 1440 | 1869 |
となります*3。
次に自分の基礎代謝量を調べて、それに自分の体重を乗じましょう。
年齢 | 基礎代謝基準値(男性) | 基礎代謝基準値(女性) |
---|---|---|
1-2歳 | 61.0 | 59.7 |
3-5歳 | 54.8 | 52.2 |
6-7歳 | 44.3 | 41.9 |
8-9歳 | 40.8 | 38.3 |
10-11歳 | 37.4 | 34.8 |
12-14歳 | 31.0 | 29.6 |
15-17歳 | 27.0 | 25.3 |
18-29歳 | 24.0 | 23.6 |
30-49歳 | 22.3 | 21.7 |
50-69歳 | 21.5 | 20.7 |
70歳以上 | 21.5 | 20.7 |
(資料は日本人の食事摂取基準(2005年版)完全ガイド』p27)
仮にわたくしが30代男性で体重が60kgだとすれば、
22.3 × 60 = 1338
1338kcalが基礎代謝量になります。METs計算による消費カロリーが1869kcalですから、
1869 / 1338 = 1.40
1.40が身体活動レベルということになるでしょう。
Afからの計算では1.43でしたから、似たり寄ったりの結果が出ました。ただこれ、やってみて思いましたが、基礎代謝基準値によっては結構異なった値が出そう*4です。ここまでつきあってくださったのに申し訳ないですが、あまりあてにならないかもしれません。
素直に食事摂取基準別添の参考1「15〜69歳における各身体活動レベルの活動内容」を参考にしたほうが、大まかですがあたってそうです。
*1:たぶん。要するに消費カロリーが基礎代謝の何倍あるかというのが身体活動レベルだと思うので。
*2:METs表は、困るほど詳しいのが健康・栄養研究所の健康増進プログラムからみることができます。
*3:ちなみに、「通勤(自転車)」は「自転車に乗る、レジャー、仕事、娯楽」「電車待ちほか」は「不活動、静かに立つ」、「準備」は「セルフケア、身支度をする」、「仕事(歩行)」は「仕事中の歩行、ややはやい」を選択。
*4:たとえば、20代男性の基礎代謝基準値でこれをやると身体活動レベルが1.30になりますし、仮にわたくしが、本当はそんなことないのですが17歳の女の子であったとすれば、1.23になってしまいます。している活動はかわらないのに、身体活動レベルだけはかわっていく。Afでみたのともかなり異なってしまいます。