動作強度の表と、それについての雑感など。

 基礎栄養学p187「日常生活の活動強度の区分」から、多くの人に当てはまりそうな活動を抜粋してみました。

日常生活活動の種類 動作強度(Af)
睡眠、横になる、ゆったり座る 1.0
談話 1.3
料理、食事 1.4
身の回り(身支度、洗顔、便所) 1.5
車の運転 1.5
机上事務 1.6
乗り物の中で立つ 2.0
買い物、散歩などでゆっくり歩く 2.2
洗濯 2.2
掃除 2.7
自転車(普通の早さ) 3.6
階段をおりる 4.0
雑巾がけ 4.5
急ぎ足(通勤、買い物) 4.5
布団あげおろし 4.5
階段昇降 5.8
サイクリング(時速10km) 4.4
ラジオ体操 4.5
階段をのぼる 7.5
ジョギング(120m/分) 7.0

 どうでもいいことなのですが、この動作強度、

 Activity factor(Af)は、沼尻の報告に示されたエネルギー代謝率(relative metabolic rate)から以下のように求めた。
Af = エネルギー代謝率 + 1.2
日本人の食事摂取基準(2005年版)

というような求められ方をしています。

 エネルギー代謝率のほうは、

 エネルギー代謝率 = ((活動時総代謝量) - (安静時代謝量)) / 基礎代謝

 エネルギー代謝率 = 活動代謝量 / 基礎代謝

と、要するにその活動によって安静にしているときと比べてどれだけ代謝が増えたかを求めて、それを基礎代謝量で割ると求められるわけです。

 活動時総代謝量はといえば、

ダグラスバッグを背負わせ、バッグと口および鼻とを蛇管で連結し作業中の呼気を一定時間バッグに集め、その呼気について酸素と二酸化炭素の分析を行い、その結果から消費した熱量を計算する。
(『基礎栄養学』p48)

というような方法で実測されています。

 寝てたり、料理してたり、歩いてたりはいいんですけど、身支度、階段を下りるといった行動になるとどう実測したのかものすごく気になります。

 洗顔ったってあなた、口と鼻にはでっかいマスクみたいなのされてるわけで顔なんて大して洗えないし、着替えにしても、そのマスクとチューブ、バッグを背負っていて着替えづらいったらありません。トイレに関しては言わずもがなでしょう。

 まして、「作業中の呼気を一定時間バッグに集め」です。きっと、5分やら10分やらは集めたでしょう。10分も洗顔しているのはものすごい潔癖性の人以外苦痛でしょうし*1、10分もどう着替え続ければいいのかわかりません。まして、10分も下り続けられる階段ってどこでしょう。東京タワー?

 この一例だけを持ってしても、研究がわれわれの使用できるようになるまでには、ものすごい努力の積み重ねがあるのが見て取れるのでした。

*1:ものすごい潔癖性の人はマスクを口鼻につけるのをいやがるので、こっちも苦痛。