本日のお勉強――肝臓での乳酸代謝

 糖質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。
(略)
(問題文)(3) 乳酸は、脂肪組織でグルコースに変換される。
(略)
(解説)×(3)肝臓においてグリコーゲンに変換される。
クエスチョン・バンク管理栄養士国家試験問題解説 2011])

 グリコーゲン? 乳酸ってピルビン酸と相互に変換可能なはずだし、肝臓で代謝されるのはまずはピルビン酸にであって、そのあとの代謝はそれこそそのときの状態によるんじゃないの? 以前見たコリ回路は、筋肉で産生された乳酸が肝臓でグルコースまで代謝されて、再び血中に出てエネルギー源になる流れでしたし。

乳酸消費 lactate consumption : 乳酸デヒドロゲナーゼによって触媒される反応の方向は細胞内のピルビン酸と乳酸の濃度比、NADH/NAD+比によって決まる。例えば肝臓と心臓ではNADH/NAD+比は運動中の骨格筋に比べて低いので、これらの臓器では乳酸(血中から得る)を酸化してピルビン酸にする。肝臓ではピルビン酸は糖新生によりグルコースに変換されるかTCA(クエン酸)回路で酸化される。心筋では乳酸を(ピルビン酸経由で)クエン酸回路で酸化してCO2とH2Oにする。
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 解説では「肝臓において」と乳酸の代謝を肝臓に限定しているけれど、実際には他の組織でも代謝はされるみたいで、限定された肝臓においても、ピルビン酸を経たのちに糖新生に使われるか、TCAでエネルギーにされるか、経路はひとつではないみたい。

 グリコーゲンはなぜか挙がってなかったけどね。