ウサギ飢餓の謎

それは、あらゆる食物がほとんど底をつく「飢餓期」の最盛期になると、狩猟採集民は、しばしば、しとめた獲物の肉の特定部分を、ときには全部を、食べないで捨ててしまうという行動である。たとえばオーストラリアのピチャンジャラ族は、しとめたカンガルーに近づくと、肉に脂肪がどれだけついているか尻尾でしらべ、その様子がかんばしくないばあいは、そのまま捨てていく。(中略)この一見不合理で気まぐれと思える行為に対する説明は、狩人たちが脂けのない肉ばかり食べていると餓死する危険があるから、ということだ。
(『食と文化の謎 (岩波現代文庫)』p46)

 とかを読むと、別段脂肪ついてれば問題ないんじゃないか、それよりも糖も脂肪もなくて、たんぱく質ばっかりになるのがいけないんじゃないかとも思えてくる。さっきも引用した

もし私達が、身体が対処しうる以上にたんぱく質を摂取すると、身体はそれを分解し、ケトン体、尿酸、アンモアニなどの有毒副産物を大量に産生するとともに、ミネラル損失も起こる。有毒副産物は食欲を低下させる。また、身体にこれらを希釈し排泄するよう強いる。さらに組織から水分を引きつける。これらは通常よりはるかに大量の水分の除去を引き起こし、ダイエットを始めた人は減量効果を見てスリルを覚える。

(『健康と長寿のためのユニーク栄養学講座』p115)

のあとに、高たんぱく質ダイエットの極端な例、高たんぱく液ダイエットを行った人たちの話が載ってるんだけど、

心臓病の既往歴はなかったにもかかわらず不整脈を起こし、それはダイエットを中止したあともしばらく続いた。このようなダイエットは60人を超える死亡者を出し、最終的にアメリカでは禁止された。
(『健康と長寿のためのユニーク栄養学講座』p115-116)

っていうんだから、体内の水分もなくなるわ心臓も危なくなるわじゃ、そりゃピチャンジャラ族もやせたカンガルー食べないよね。