2004年は野菜不作だったのか――野菜摂取量調べ物の追記
野菜の摂取量を調べてみたで2004年に野菜摂取量が少なかった原因として、2004年には野菜が不作だったからじゃないかと書いた。でもgoogle先生から教えてもらったひとつのblogだけで判断しちゃいけないだろうということで、農林水産省からふたつのデータをあたってみた。ひとつは、農林水産施策について(統計)で、もうひとつは日本の食料生産量・消費量だ。
農林水産施策について(統計)によれば、
収穫量は267万2,000t、出荷量は219万4,000tで、共に前年産に比べて1%増加した。
平成16年産春野菜の作付面積、収穫量および出荷量(全国)
収穫量は242万9,000tで前年産に比べて3%減少し、出荷量は200万9,000tで前年産に比べて4%減少した。
平成16年産夏秋野菜の作付面積、収穫量および出荷量(全国)
収穫量は310万t、出荷量は230万9,000tで、秋植えばれいしょが前年に比べて増加したものの、それ以外の品目が作付面積の減少や台風の影響等により減少したことから、それぞれ40万t(11%)、29万6,000t(11%)減少した。
平成16年産秋冬野菜等の作付面積、収穫量及び出荷量
とあって、台風の影響で秋冬野菜の収穫量が少なかったことがわかる。
また、日本の食料生産量・消費量の品目別データによれば、国内野菜生産量の推移は、
年 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国内野菜生産量(1,000t) | 14,677 | 14,364 | 13,700 | 13,902 | 13,704 | 13,604 | 13,299 | 12,905 | 12,344 | 12,492 | 12,363 |
となっている。これを見ると、2004年は確かに国内野菜の生産量が落ち込んでいるのがわかる。つまり、2004年は本当に野菜が不作だったんだ。
でも一方で、期待したほど大きな落ち込みではない*1。国民栄養健康調査の野菜摂取量と並べてみると、
年 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生産量(1,000t) | 14,677 | 14,364 | 13,700 | 13,902 | 13,704 | 13,604 | 13,299 | 12,905 | 12,344 | 12,492 | 12,363 |
野菜摂取量(g) | 285.7 | 275.1 | 260.6 | 276.5 | 276.0 | 279.5 | 269.7 | 277.6 | 253.8 | 279.7 | 287.8 |
となるけど、摂取量が前年比で10%近く落ちてるのに、生産量では5%も落ちてない*2。先ほど見たように不作だったのは台風の影響を受けた秋冬野菜で他の野菜は前年並みか微減だったわけだから、2004年全体では生産量がそんなにひどく落ち込んでいないのもうなづける話ではある。
摂取量が生産量の落ち込み以上に少なくなったのは、生産量が少なくなると値段が上がって手が出にくくなるからかなあと思って、試しに野菜の販売価格動向の平成16年12月(PDF/excel)から主だったところを拾ってみた*3。
種類 | 大根 | にんじん | 白菜 | キャベツ | ほうれん草 | レタス | きゅうり | トマト |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
H16.12の販売価格(円/kg) | 149 | 335 | 165 | 206 | 699 | 455 | 469 | 757 |
H15.12の販売価格(円/kg) | 122 | 223 | 116 | 111 | 645 | 354 | 585 | 625 |
H16.12/H15.12 | 1.22 | 1.43 | 1.43 | 1.86 | 1.08 | 1.28 | 0.80 | 1.21 |
当たり前だけど、値段が上がってるものがほとんどだ。しかも同年前月比では価格が下がっているものが多いから、12月はまだましになって来た月なのかもしれない。秋冬に野菜が高騰して生産量の減少以上に食べなくなって、それで夏秋までほぼ例年並みに野菜を食べていたにもかかわらず、トータルでは10%近くも野菜摂取量を落ち込ませた、というのもなくはない。
まあ、でも結局価格の高騰がどこまで消費に影響を与えたかはわからないんだけど。
*1:全体を見るとずっと生産量は減少傾向だし、2005、2006年も「不作だった」2004年と比べてあまり変わらない。
*2:もちろん、もともと異なるデータだし輸入野菜もあるので数字が一致しないのは当然としても。
*3:標準品と有機栽培品との比較では、H16.12の大根標準品の価格が203円なのに、標準品と特別栽培品との比較だとH16.12の大根標準品が119円だったりして、正直どこのデータを見ればいいのかわからないんだけど、「全国主要7都市平均の標準品、有機栽培品、特別栽培品、地場産品及び輸入品の価格、販売数量」の標準品の価格で比較。H15.12の価格は平成16年03月のデータに載ってるものから。