野菜消費量と価格の関係――消費者物価指数を使って調べてみる

 野菜の消費量と価格の関係をもう少し調べてみようと、1991年から2006年までの野菜摂取量と、野菜の消費者物価指数消費者物価指数で除したものの関係をグラフにしてみた*1。野菜の消費者物価指数をそのまま使わず全体の消費者物価指数で除してみたのは、なるべく実質的な野菜の販売価格と摂取量を比較したかったからだ。全体の物価が高いとそれはひょっとしたら所得だって多かったかも知れず、所得が多ければいくら野菜の物価が高くても実質的には安く感じるだろう。全体の物価で野菜の物価を除せば、まあそこら辺なんか調節つくんじゃないかと適当な思いつきでやってみた。

 縦軸は野菜の摂取量、横軸は野菜の消費者物価指数/全体の消費者物価指数

 なかなかきれいに右肩下がりになっていて、野菜の価格が高いと消費量が減少していることがわかる。相関係数rは0.71で、相関関係も説明できそうだ*2

 ただこれ、実は恣意的に1991年で切ったグラフで、区切りよく1986年からの20年間でグラフを作ると

こんな具合になって、見るからに相関してないだろという感じのグラフになる。86年から89年までにかけて、野菜の値段が安いくせに摂取量も低いという状態*3で、せっかく91年からなら関係性有りそうに見えたのを台無しにしてくれる。

 では、95年以降の野菜摂取量が安定して以降だとどうなるかといえば

こんな具合になって、消費量が少なく飛び出している二つはいずれも野菜の物価が高かったことを示しているから一見よさそうに見えるんだけど、相関係数rは0.45で、相関関係にあるというには厳しいみたいだ。サンプルが少なくほぼ固まってることと、あとは消費者物価指数がマーケット・バスケット方式で、購買する品目を固めているからうまく関係性を記述できていないのが原因かもしれない*4

 野菜の価格が野菜の消費量に影響を与えないなんてことはないとは思う*5から、「価格が高かったから摂取量低かったんです」説を捨てる気はさらさらないんだけど、なんかうまく記述する方法はないだろうか。あと、ちゃんと統計の勉強しないとちょっとこれ以上突っ込むのは難しいのかもしれない。

*1:資料は消費者物価指数10大費目指数(全国)(excelファイル)と、おなじみの国民健康栄養調査

*2:確か統計の先生はr^2が0.50以上だと直線で半数以上が説明できることになるので、相関関係があると言えるひとつの目安である、というようなことを言っていた。けど統計ちゃんと勉強してないし実際のところよくわかってません。

*3:以前見たように、野菜の摂取量は大まかに言って95年まで上昇傾向で、以後はほぼ横ばい。

*4:たとえば大根が高くて白菜が安ければ、大根ではなく白菜を買う量を増やすだろうけど、消費者物価指数だとこの年毎に起こりうる消費の変更が反映されずに、毎年同じものを買うと仮定されてしまう。

*5:だって、高くなったらやっぱり買わなくなったり、買う量少なくなったりはするでしょ。