2009-01-01から1年間の記事一覧

食事摂取と作業と心理

できれば自信を持って「朝食は大切」と言いたいでは、「朝食摂取が持つ知的作業への影響」を見ました。朝食に500kcal摂取する群(適正食群)と100kcalしか摂取しない群(不適正食群)とに分けて、知能テストの5つの項目(置換問題、異同弁別問題、抹消問題、…

ちょっとどうでもよくなっているコリ回路

問題を間違えた試験からも日にちが経ち、ヌクレオチド代謝をまとめてエネルギーを発散した結果、ちょっとどうでもよくなっているコリ回路についてです。 筋肉などで生じた乳酸を肝臓でピルビン酸を経てグルコースにまで代謝して、再び血中に放出されてどこぞ…

間違ってへこんだ、NADPHとコリ回路

とある試験問題の選択肢で、「ペントースリン酸回路は核酸合成に必要なエネルギーを供給する」「肝臓は筋肉から輸送された乳酸をグルコースに代謝する」というものがありました。ペントースリン酸回路はすでに見たように、その機能は2つありました。ひとつ…

ビタミンサプリメントの効果はどうやら怪しい

「ビタミンは運動の努力を取り消してしまう」可能性があるとか。 「マルチビタミンの使用は女性のがん、心疾患、死亡リスクと関連しない」では、「マルチビタミンは利益も有害性もなさそうだ」というけれど、「'No evidence' for vitamin benefit」では、無…

まずは体重をなんとかしよう

健康的な範囲の体重を維持することは、食事中のたとえば抗酸化物の種類・量を気にすることや脂肪と炭水化物の比率に神経質になるよりも、長期の健康のためにはもっと重要なことである。 (「体重が健康に及ぼす影響」臨床栄養別冊 メタボリックシンドローム…

やせは体に悪くない?

世の中にはBMIという指標があって、これは体重kgを身長mの二乗で割った値のことです。この値が22.0であれば理想的、18.5〜25.0であれば普通、18.5未満はやせ、25.0以上は肥満であるとされています。なぜ22.0が理想なのか、なぜ18.5〜25.0の範囲に体重をおさ…

ふたたびの、コレステロールと死亡率

以前読もうと挙げていた「低コレステロールは死亡率を高めるか」は、やっぱりタイトルから予想されるように、「低コレステロールは死亡率を高めない」との主張だったのでした。内容のほうも食事摂取基準さまが仰る通り*1、低コレステロールは原因ではなく結…

乳糖のカルシウム吸収について

ゆえあって「食品とカルシウム吸収について」を読んだのですが、面白かったのは乳糖に関するこんな話でしょうか。 このカルシウム吸収促進作用については、pH低下説、可溶性複合体説のほか、最近では乳糖が吸収部位である小腸の絨毛細胞のカルシウム透過性…

朝食後の血糖値で分散が大きい

「空腹時間が長いと、食後血糖値が高くなる」で見た「朝食欠食が昼食後の血糖値変動に及ぼす影響」で、もうひとつ面白いなあと思ったのが、血糖値の分散です。 たとえば、食後60分後の血糖値を比べると、「朝食」「朝食摂食・昼食」「朝食欠食・昼食」でそれ…

空腹時間が長いと、食後血糖値が高くなる

というのが、「朝食欠食が昼食後の血糖値変動に及ぼす影響」の結論だと思われるのです。これによれば、 被験者6名 同じ内容の実験食を 朝食として摂取(「朝食」) 通常の朝食を摂ったあと、昼食として摂取(「朝食摂食・昼食」) 朝食欠食のあと、昼食とし…

映画「キング・コーン」

映画「キング・コーン」を見た。 アメリカ人はコーンでできている、というくらいたくさんのコーンを食べているらしい。そのほとんどが、コーンシロップやコーンを食べた畜肉という、見えないコーンだ。農業未経験の若者二人がコーン栽培を通じて、なぜアメリ…

低LDLコレステロールと死亡率を調べてみた

コメント欄で指摘されたので、低コレステロールと死亡率の関係でも調べてみようかと思い立ちました。これとかこれとか、日本臨床の増刊号でもあたれればもっと詳しくわかりそうなものだけど、とりあえず手近なところで「日本人では低LDLコレステロールで死亡…

「朝食はいい! それもご飯食がいい!」との主張

引き続き朝食をCiNiiってるわけなんですが、「ご飯朝食を摂取した学生とその成績」において、上記のような主張がなされてたのでした。 著者は大学・短大の先生 自分の講義の最後に、毎回小テストを行った。その際に、朝食を食べてきたかどうか、食べてきたと…

できれば自信を持って「朝食は大切」と言いたい

朝食と学力テストの点数の関係というのはよく言われるんですが、これには大抵「朝食自身ではなく生活習慣や家庭環境の影響」が、というような注意書きがついてきます。また、その種のテストにはある程度の蓄積がものをいうでしょうから、朝食自身が脳の働き…

意外に強力? 成長ホルモンの脂肪分解効果

単純に計算しても、成長ホルモン30%の減少で、1日あたり約200キロカロリーの脂肪が分解できずに蓄積されることになり、1か月でおよそ880グラムの脂肪がついてしまうのです。 (『NHKスペシャル病の起源〈1〉睡眠時無呼吸症/骨と皮膚の病/腰痛』p13) という…

糖新生のお勉強

解糖系のお勉強の繰り返しになるけど、解糖とはグルコース(炭素数6)がピルビン酸(炭素数3)に代謝されるまでの反応です。 ピルビン酸はそのあとピルビン酸デヒドロゲナーゼという酵素でアセチルCoA(炭素数2)になり、アセチルCoAはオキサロ酢酸(炭素数4…

もう一度、フルクトース代謝のお勉強——糖新生のお勉強になるはずだったもの

タンパク質や脂質は、幾ら遠回りしてもブドウ糖そのものを提供してくれるわけではない。 低血糖を呈している人の経験談を、そのまま鵜呑みにしていいの? 低血糖症については知識不足でわからないけど、たんぱく質はグルコースになりますよ*1、そうだいい機…

筋トレであがる基礎代謝は案外少ない

ぼくの友人がLAでトレーナーをしていますが、ぼくがメタボ気味でエクササイズを始めた頃、良くアドバイスをもらってました。彼からのアドバイスで一番良く憶えているのが、「筋肉は維持するだけでもカロリーを消費する」ということ。 脂肪を落し、太りにくい…

「肉がほしい」とアラキドン酸についての一考察

このように、食肉に含まれる脂肪酸について最近新しい知見が次々と見出されている。アラキドン酸(arachidonic acid)由来物質によるアナンダマイド(anandamide)作用もその1つである。アナンダマイドは、食肉や内臓など動物性食品に含まれるアラキドン酸…

マクロビ給食——もしくは、食育への危惧

マクロビオティック 給食の研修会なんてあることに驚きつつ、でもそういえばマクロビ給食ってどっかで見たなと思ったら、学校給食の2007年度3月号です。最初読んだときは、給食をこんな自分の趣味に使っていいんだと驚いたものだけど、いやはや、東北地方で…

「本当に久しぶりにアイススケートをした」という日記

なんか普段使わない筋肉とか使いそうだなあという理由で、先日15年ぶりくらいにアイススケートをしたのでした。滑り終わったあともあまり疲れた実感がなかったんですが、では実際アイススケートとはどの程度の運動なのだろうかと調べてみました。 毎度おなじ…

牛乳よりもヨーグルトのほうがCa吸収がいい、らしい。

ヨーグルトは牛乳を乳酸菌により乳酸発酵させてゲル状にしたもので、牛乳の主要糖である乳糖は分解されて乳酸になっている。(略)たんぱく質やカルシウムは、牛乳より吸収されやすくなっている。 (『健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック…

肉がだめなら無農薬野菜を洗わずに食べればいいじゃない。

と、肉を食べたくてぐずっている自分の子供に対して、菜食主義者の親が言ったとか言わないとかですが、もし仮に言っていたとすれば、彼、もしくは彼女は、己のビタミンB12供給源についてよく知っていたに違いありません。 獣肉、魚肉、鳥肉、乳製品は、(中…

不足している栄養素——ビタミン編

先日はミネラルの不足を見ましたが、今回はビタミンの不足を見てみましょう。 ビタミンA まずはビタミンAです。上は男性、下は女性の表で、単位はμgREです。 年齢 平均値 中央値 推定平均必要量 推奨量 18-29歳 602 412 550 750 30-49歳 570 393 550 750 50-…

普通の食生活をしていれば、不足する栄養素はないってほんと?

福岡伸一は 飽食の時代に生きる現代人は、常時カロリーオーバーの危険性にさらされることはあっても栄養素が欠乏することはほとんどありえない。 (略) これは毎年、厚生労働省が行う栄養調査でも明らかになっていることで、少なくとも普通の食生活をしてい…

朝食に大豆を食べるようにした理由——たんぱく質は満腹感がある?

最近大豆をよく食べるようになった理由として「なんか大豆って健康に良さそうじゃん」というのは嘘ではないのですが、朝食に食べるようになったことに関しては、もう少しちゃんとした理由もあるのです。 曰く、たんぱく質は満腹感をもたらす。 朝はちゃんと…

個人的な大豆ブームだけど、大豆イソフラボンの摂取は大丈夫?

ここ一週間ほど大豆にこっていて、朝食、夕食と日に二回は食しています。なんか大豆って健康に良さそうじゃん、っていう栄養学を学ぶものにあるまじき民間信仰からなんですけど、しかし大豆といえば大豆イソフラボンです。きな粉ブームの際にはちょっとばか…

動作強度の表と、それについての雑感など。

基礎栄養学p187「日常生活の活動強度の区分」から、多くの人に当てはまりそうな活動を抜粋してみました。 日常生活活動の種類 動作強度(Af) 睡眠、横になる、ゆったり座る 1.0 談話 1.3 料理、食事 1.4 身の回り(身支度、洗顔、便所) 1.5 車の運転 1.5 …

話のついでに、身体活動レベルの算出でも。

身体活動レベルの話をしたのですから、その算出方法についてのお話をするのが筋というものでしょう。いえ仮に筋ではなかったとしても、今の身体活動レベルを把握しておくのはわたくし自身にとっても悪くないのではないかと思うので、ひとつ昨日の生活をもと…

不足しているのは摂取エネルギーではなく運動

日本人は栄養不良?では、推定エネルギー必要量とエネルギー摂取量とを比較して、70歳以下の各年代で後者が前者を下回っている現状にあるのをみて、「日本人は栄養不良である。のかもしれない」としましたが、ちょっと思い直しました。少なくともエネルギー…